
泉州地域の朝日新聞オリコミ誌「あさひゆめほっと」2008.3/5日号
「くろーずあっぷ」
透明な空気を器に彩る
ポップで温もりある焼物作品
陶芸作家 佐ノ川谷藍子さん(28)=泉佐野市=
ひとひらの桜の花弁がひらひらと風に舞い降り、酒盃の水面に波紋を写す。そんな風景にとけこむ器はどこか儚げでずっと見守りたいような可憐な姿。
泉佐野市の古い蔵で毎月、「覚兵家米倉ギャラリー器展」を開催する佐ノ川谷藍子さん。ピュアで透明感ある作品は、日常使いできる器を主に製作。色彩は白とブルーが基調で驚くほど軽く感じるお茶碗やカップは、手にすっぽりと納まり、使うほどに愛着を感じる逸品です。
子供の頃から絵を描くのが大好きだった佐ノ川谷さんは芸術系の高校に進学し、絵画の基礎となるデッサンや油絵などを学び、大阪芸大に進みます。そこで自由な発想の現代アートと出会い、人間の生命の原点である五感、特に手に触れたものをアートで表現するリアル感を重視した自画像を描き続けました。
大学四回生の時、訪ねた東洋陶磁美術館で室町時代に作られた古備前焼の壷に魅了されます。名も知らぬ農民の作った壷がいにしえの歳月を経て、今も人を震撼させる力強さに打たれ、陶芸を志す契機となりました。
一から始めた陶芸は、陶芸教室で基礎を習得。庭先に窯を据え、自宅物置を工房に、師匠を持たず、独学の試行錯誤。たどりついたのは、足で自由自在に操れる蹴轆轤(けろくろ)作り。
轆轤を回しては止め、素地を叩く音で削り具合を調整する、まさに五感を研ぎ澄ます作業。作品が手になじむ秘密がここにあります。
「まだまだ途上の陶芸作家、狭い空間でもアートを感じられるような空気感のある作品を生み出したい」と華のある真っ直ぐな瞳で語ってくれました。